神戸電鉄粟生線(新開地〜粟生)は、急勾配と山間の風景、三木の城下町、小野の田園地帯を一気に駆け抜ける“ミニ旅路線”。歴史は古く、1936年の開業から地域交通を支えてきました。現在はローカル色が強いものの、乗り鉄的には“変化に富んだ車窓”が最大の魅力です。
路線概要(新開地〜粟生)
神戸電鉄粟生線は、神戸市兵庫区・新開地から神戸高速線・有馬線を経て、鈴蘭台〜三木〜小野を結び、粟生駅へ至る全長29.2kmの路線です。
最大勾配は 50‰(パーミル) と全国屈指の急勾配路線です。
- 路線距離:29.2km
- 駅数:20駅
- 複線区間:西鈴蘭台〜藍那、川池信号所〜押部谷(その他は単線区間)

歴史:三木電気鉄道から始まったローカル私鉄の挑戦
粟生線のルーツは1936年、三木電気鉄道が鈴蘭台〜広野ゴルフ場前を開業したことに始まります。
当初は補助金の関係で電化が間に合わず、ガソリンカーで営業開始というユニークな歴史も。
- 1936年12月:鈴蘭台〜広野ゴルフ場前 開業(ガソリンカー)
- 1937〜38年:三木方面へ延伸
- 1947年1月:有馬線・三田線を運営していた神戸有馬電気鉄道と合併し、神有三木電気鉄道株式会社に商号が変更
- 1952年4月:粟生まで全通
- 1968年4月:神戸高速線開業により新開地へ直通開始
沿線のニュータウン開発により1970〜90年代は利用が増加しましたが、近年は自動車・高速バスとの競合で利用減が続いています。

運行ダイヤの特徴
日中の運行本数(全列車がワンマン運転で、粟生線の多くが有馬線と直通して新開地へ向かいます)
- 鈴蘭台〜西鈴蘭台:15分に1本(うち2本/1時間あたりは鈴蘭台ー西鈴蘭台間の区間運転)
- 西鈴蘭台〜三木:30分に1本
- 三木〜粟生:1時間に1本
区間ごとの見どころ・車窓ポイント
◆ 新開地 → 鈴蘭台(新開地ー湊川間【神戸高速鉄道南北線】・湊川ー鈴蘭台間【有馬線】)
神戸の下町から一気に山岳鉄道へ変貌する劇的な区間です。
起点は神戸高速鉄道:新開地駅です。次の湊川駅までは神戸高速鉄道南北線に属しています。正式には、湊川駅から先が神戸電鉄となります。

湊川駅を出発する鈴蘭台までは上り急勾配が続きます。市街地から一気に山岳路線に変貌します。

湊川を出発してトンネルをでると最大50‰(パーミル)の上り坂を一気に駆け上ります。その様子を動画をごらんください。
わずか数分で“都会の私鉄”から“山岳鉄道”へ。神鉄の本領発揮です。
写真は、廃止された菊水山駅付近を撮影したものです。鵯越駅から鈴蘭台駅までは山岳路線を走行します。

◆ 鈴蘭台 → 西鈴蘭台 → 藍那(最大50‰の急勾配と深い谷を越える“神鉄名物区間”)
山岳区間を走行して勾配を登り切ったところが鈴蘭台駅です。神戸電鉄を支える鈴蘭台車庫があります。運行上の要となる駅で、ここで粟生線と有馬線が分かれます。

鈴蘭台駅を出発すると粟生線はすぐに50‰の急勾配となります。50‰(パーミル)とは1km進むあいだに50m高くなる勾配のことをいいます。かなりの勾配です。その様子を下の動画でごらんください。
鈴蘭台西口駅です。写真の中の左上あたりに「50」という数字がみえます。これが50‰をあらわすものです。

次の西鈴蘭台から→藍那→木津間は、藍那付近は山深く、神戸市内とは思えないローカル感がある区間です。下の写真は、藍那〜木津:川池信号場の複線切替区間です。
藍那から単線区間だったものが、この場所から押部谷駅までが複線区間となります。

◆ 木津 → 志染 → 三木(ニュータウンと城下町が混ざる“粟生線らしさの中心”)
- 志染〜緑が丘はニュータウンの住宅街を走る穏やかな区間。
- 三木上の丸〜三木は城下町の雰囲気が残り、駅周辺の街並みが美しいです。
- 美嚢川を渡る鉄橋は粟生線屈指の撮影スポット。
写真は広野ゴルフ場前ー志染間の車窓です。県道と並行して直線区間が続きます。ニュータウンの住宅街が左右に広がります。

志染駅を出発すると恵比須→三木上の丸と進みます。写真は三木上の丸駅からみた三木城跡です。2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟」で羽柴秀吉が三木城攻め(城主:別所長治)の舞台となった場所です。

三木上の丸駅を出発するとすぐに美嚢川を渡る鉄橋に差し掛かります。この橋は、カーブしながら勾配を下る珍しい構造です。車内からでも橋の形状と川の流れがよく見えます。粟生線屈指の車窓ポイントです。その様子を動画でごらんください。
◆ 三木 → 小野 → 粟生(田園風景が広がる“のどかな終着区間”)
- 三木を出ると一気に田園地帯へ。
- 小野駅は粟生線の中間拠点で、周辺は落ち着いた地方都市の雰囲気。
- 終点・粟生はJR加古川線・北条鉄道が交わるジャンクション。
三木駅を出発すると、次の大村駅ー樫山駅間で峠越えの区間となります。

次の写真は市場ー小野間の車窓です。ここからはのどかな田園風景が広がります。

小野駅です。大きな駅舎があり、小野市の中心的な場所となっています。

小野を出発すると、葉多(はた)駅をへて終点の粟生駅に到着します。粟生駅到着直前に加古川橋梁を渡ります。加古川を渡る大きな鉄橋です。

終点の粟生駅です。JR加古川線・北条鉄道が交わるジャンクションです。乗り換えの利便性を考慮したダイヤとなっていて、3つの列車が一気に到着して賑わいます。

粟生駅の駅舎です。駅自体はコンパクトな作りとなっています。

まとめ:粟生線は“変化の宝庫”のローカル私鉄
神戸電鉄粟生線は、
- 急勾配の山岳区間
- ニュータウンの住宅地
- 三木の城下町
- 小野〜粟生の田園地帯
わずか30km弱で驚くほど景色が変わる路線。
乗り鉄・撮り鉄・街歩き好き、どの視点でも楽しめる“穴場路線”です。

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